守輪咲良活動日記NO.32熊坂兌子展

熊坂兌子展

  熊坂兌子展写真1
  ↑ 左から熊坂兌子さん、新岳大典、守輪咲良、女優の石塚早苗さん

 以前にも紹介した彫刻家熊さんの個展が中目黒で開催中だ。オープニングに新岳と出かけた。以前はご主人の彫刻家サール・シュワルツと、よく2人展をやっていた。アメリカで、イタリアで、日本で。あっ、チラシを見たらドイツでもやっていたんだ。二人の素晴らしいアーティストはニューヨークで出会い結婚した。守輪はそのとき、光栄にもマッチメーカーの役割を仰せつかったのだ! 
 ブルックリンのロフトで上と下に住んでいた縁である。ほどなくして二人はイタリアのヴェローナへ移住。しばらくして私もイタリアへ遊びに行き、ヴェローナでお世話になったことがある。
 熊さんはこのヴェローナで赤大理石と出会い、素晴らしい作品をたくさん創っている。なかでも89年制作の「豊饒」が私は好きだ。92年制作の「母なる大地の神殿」も良い! 私のなかで熊さんという人柄と作品とがぴたりと重なる。アーティストとして、こんな素敵なことはないと思う。作品を見ていると、ああ、熊さんだ! 熊さんそのものだ! と感じる。幾度となく同じ作品を見ているが飽きることがない。それどころか、じわじわとその深み味わいが滲んでくるようになった。私も私なりに年を重ねてきて、ようやく熊さんのすごさが実感できるようになったということか・・・。ニューヨーク時代以来の呼び方で熊さんなんて気軽に言ってるが、今年77才。私の尊敬するアーティスト
 熊さんの作品はこれから益々、光輝いてくるだろう。サールが亡くなってしばらく寂しそうだったが、いよいよ熊さんは新たなる活動を始めたように思われる!

  熊坂兌子展写真2 ← 作品と共に記念撮影

 宗教法人長泉院附属「現代彫刻美術館」にて、11月23日まで。月曜休館。


(守輪咲良)

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守輪咲良活動日記NO.31秋コーススタート目前!SAPの夢とは?

秋コーススタート目前!
 SAPの夢とは?




 早いもので7月からはじまった新SAPは4日から2期目の秋コースがスタートする。7月からはじまったベーシック・クラスは、今回なかなか充実して楽しかった。このクラスが一番みんな生き生きしていたように思う。次回はさらにレベルアップしたいと今から守輪は意欲的である。皆さま、是非ご参加あれ!

 ベーシック・クラスでやる基礎シーンワークへとつながっていく。この基礎に時間をかけたくて、シーンワークからベーシック・クラスエチュード・クラスを独立させた。今、私が一番力を入れているクラスがベーシック・クラス。なぜなら、一番みんなに必要だから。土台がしっかりしたら、その後の勉強がどれほど分かりやすくなることか。
 まず、舞台上の環境にいられるようになりたい! 一般にこれがみんなよく分からないらしい。頭で考えてしまう。実践で身体で分かるようになるためには、それぞれが抱えている問題もあって、そこを乗り越えていく具体的な指導と本人の努力が必要となる。
 さて頭も身体も柔軟にして、与えられた課題に細かく具体的に理由づけする力を養なおう! 行動の正当化の勉強からスタート。そして自分の体験を通しながら想像力を働かせていくこと! 思いつきのアイディアでは上手くいかない! 物語を構成する力もとても大事だ。ベーシック・クラスではこれらを楽しんでやれるようになりたい。

 さて、エチュード・クラスは二人でのやり取りを中心に行われる。実はこの二人でのやり取りが、みんな非常に苦手だ。一般にコミュニケーションスキルがとても低下している。だから本当はもっともっと時間をかけて真剣に取り組まなくてはいけないレッスンなのだ。残念ながら月曜午後という時間帯のせいも手伝ってか、このクラスの参加者数が一番少ない。こちらも、是非、ご参加を!

 シーンワークの指導に関しては日本ではまだまだ一般的になっていないし、ニューヨークでやっていたようにやることはとても難しい。戯曲のこと一つとってもそうだが、いろいろなことが違いすぎるからだ。ストラスバーグのところでやっていた時のクラスのことを少し書いてみよう。

 まず、シーンワークでやる戯曲の選択も相手役の選択もすべて生徒に任されているので、自分のやりたい作品と役を用意しておかなくてはならない。ということは、戯曲を数多く読んでいろいろな作品のことを知っている必要がある。初心者の場合、自分とあまりかけ離れていない役を求められる。狂気性のある役とかテンションの高いドラマ性の強い場面とか、役づくりに苦心するようなものは適さない。モノローグもだめ。二人でのやりとりが演技の勉強の最小単位になっている。

 クラスでやるときには、自分たちですべて本番のようにセッティングして行われる。当日は自宅から小道具や衣裳の用意をしてきて、舞台上に必要なベッドや椅子やテープルなどをセッティングし、役への集中をしはじめる。同時に舞台には照明が入り、客席側が暗くなる。そうなるともう何があっても途中で中断することはできない。客席側も誰一人としておしゃべりするものはいない。だから全く本番と変わらない緊張した舞台のうえで、俳優には集中力とコミットメントが要求される。これだけでも、かなり集中力が鍛えられ本番に強くなる。そのためには自主稽古が欠かせないし、稽古量もそれなりに必要になる。これが通常のシーンワークであり、先生に観てもらうためには、こういった自主的な準備が必要となる。

 日本でよく見られるような稽古、つまり、セリフを暗記して段取りをつけて、芝居を形にするようなことは一切なく、ほとんどインプロヴィゼーションを通して行われる。まずはセリフを言うことではなくて、俳優が舞台上で集中すべきことに集中できるようになる必要がある。適応力も必要だ。
 インプロヴィゼーションを通しての演技の勉強は、役の生活を探ることだったり、相手役との関係性を探ることだったり、役の内面や行動を探ることだったり、常に探しながら集中、集中しながら探していかなければならない。セリフをきっちり暗記してしまうと、セリフに縛られて探ることができなくなってしまう。舞台上で俳優が役の行動や言葉や感情を探っていく作業を可能にするのは「speak out」の手法だ。つまり、暗記したセリフではなく、今自分が集中しようとしていることや、その瞬間にわいた疑問などが自然に言葉になって出てくることだ。これが役の行動やセリフにつながっていく。この時、役と自分が重なっているため、出てきた言葉は役者の言葉であり同時に役の言葉や行動にもなっていく。俳優は役を演じるとき、常に自分を通して演じていかなければならないのは必定だ。

 もう一度繰り返すと、シーンワークを勉強していくうえで、まず〈与えられた環境〉のなかにいられなければならないが、これが日本の俳優にはなかなか難しい。設定を頭で考えてしまい、パターン化した芝居くさい演技になってしまう。実は俳優にとってはそのほうが楽なのだ。しかし、本当に良い演技とはそんな楽な芝居であるわけがない。そこには俳優が闘わなければならない大きな問題がある。
 頭で考えるのをやめて、舞台上で本当に〈与えられた環境〉にいることがなぜ難しいのか? それは俳優が不安になったり恐くなったりするからなのだ! これを克服するには緊張をほどき、舞台上での集中力をしっかり身につけること。エクササイズ・クラスでやる身体のリラックスや感覚への集中の訓練が大きく役に立つ。俳優の楽器のメンテナンスは常に必要だ。

 長々と書いてきたけれど、ようするにベーシックエチュードの2つのクラスで演技の基礎力を徹底すること! それにはエクササイズ・クラスでの楽器づくりが大切であること! その結果、少しでもシーンワークの質が高まり充実していくこと、それがこれからのSAPの夢であり目標なのだ。少しずつ、着実に、頑張りたい!

 SAPへの皆さまの参加を心からお待ちしています。


(守輪咲良)

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プロフィール

sakuramoriwa

Author:sakuramoriwa
守輪咲良。演出家。演技私塾「櫻塾」代表。劇集団「咲良舎」主宰。日本演出者協会会員。一般社団法人日露演劇会議・常務理事。明治大学文学部卒。札幌市出身。

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