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連載/俳優がおちいる「演技力」という幻想 第1回「舞台に「いる」こと

連載/俳優がおちいる「演技力」という幻想 第1回「舞台に「いる」こと


舞台に「いる」こと


 昔、リー・ストラスバーグのクラスを受けはじめた時、演技の勉強とは、まずは〈舞台にいられるようになること〉だとは・・・、若かった私には思いもよらないことだった。

 シーンワークで最初にやった作品はテネシー・ウィリアムス「話してくれ、雨のように・・・」だったが、ストラスバーグはとても褒めてくれた。しかし何を褒められたのか・・・、残念ながら若い私にはよく分かっていなかった。
 つまりシンプルに舞台にいて、窓際でひたすら雨の音を聞いている〈存在〉がどれほど観ている人の注意をひきつけるか・・・当時の私には、舞台上に〈いる〉ことそのものがりっぱに演技であることは、認識できていなかった。

 それで、次の作品「Rashomon」(芥川龍之介作、フェイ&マイケル・カニン脚色。1959年、ブロードウェイで上演。山賊:ロッド・スタイガー)で手ひどく失敗した。
 選んだ場面は、後ろ手に縛られて身動きできない夫の前で、山賊に犯された女房が、山賊の去ったあと物言わぬ夫に対して、エモーショナルに自己弁護をエスカレートさせていくシーンで、演技経験の少ない若い俳優には簡単に手におえるような代物ではなかったのだ。結局こういうドラマテンションの高いシーンでは、俳優は感情を高ぶらせ、これ見よがしな体当たり演技になりやすい。

 「いったい君は何をやっているんだ!」ストラスバーグが怒り出した。
 そして、1時間以上もかけて私を分からせようとしたけれど、私はどうしたらいいのか絶望的に分からなくなって、ついに何もかも〈演技すること〉をやめて舞台上で力なく放心状態になったとき、突然、「それだ!それだ!」と、ストラスバーグの叫ぶ声が聞こえて・・・、やっとその日の稽古から解放された。私はやっぱりよく分かっていないままだった。


  (第2回へつづく)
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テーマ : 演劇・劇団
ジャンル : 学問・文化・芸術

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プロフィール

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Author:sakuramoriwa
守輪咲良。演出家。演技私塾「櫻塾」代表。劇集団「咲良舎」主宰。日本演出者協会会員。一般社団法人日露演劇会議・常務理事。明治大学文学部卒。札幌市出身。

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