守輪咲良活動日記No.18 フランス・イギリス・イタリアからの三つの芝居(その3)

守輪咲良活動日記No.18 フランス・イギリス・イタリアからの三つの芝居(その3)


 フランス・イギリス・イタリアからの三つの芝居
 (その3)


 イタリア ミラノ・ピッコロ座「アルレッキーノ~二人の主人を一度にもつと」

 最後に、7月5日に観たミラノ・ピッコロ座「アルレッキーノ――二人の主人を一度にもつと」は最高だった! 世田谷パブリックシアターが、これほど観客の拍手で湧いたことがあっただろうか? 劇場中が拍手で鳴り響いたのだ! フェルッチョ・ソレーリのあの愛すべきアルレッキーノの世界と世田谷パブリックシアターの組み合わせは大成功だ! 高齢でテンションが落ちているのではないかという心配は見事に裏切られた。79才だと言う。16世紀イタリアのコンメディア・デッラルテを現代に蘇らせたこの作品は、名演出家ジョルジョ・ストレーレルピッコロ座を創設した1947年に初演。以来60年以上にわたって世界中で上演され愛され続けている。また、ストレーレルが演出したマリヴォーの「奴隷島」は舞台写真を見ただけだが、ため息が出るくらい幻想的で美しい。

 さて、コンメディア・デッラルテのことも日本ではあまり知られていない。
 『コンメディア・デッラルテのことは、ヨーロッパの偉大な演出家たち――メイエルホリドからワフタンゴフラインハルトまで――の多くが第二次大戦前の数十年の間に注目し、研究していた』と今回のパンフにもあるように、ワフタンゴフ「トウラドット姫」にも大きく影響を与えている。スタニスラフスキーと言うと、何かにつけチェーホフに結びつけられる傾向があるが、日本ではこの傾向がスタニスラフスキーへの視野を狭くしているように思えてならない。

 また、これを機会に私とマリヴォーの関係に少し触れておきたい。
 私にマリヴォーを読ませてくれたのは、「メソード演技」の翻訳者、今は亡き米村あきら先生だ。初めて読んだときには膨大なセリフに圧倒され、すっかりこれはセリフ劇だと思ったが、身体性の優れたコンメディア・デッラルテの役者たちが演じていたと聞いて俄然興味が湧いた。そもそも帰国当時、日常と変わらないリアルな舞台装置、演技に飽き足らなくなっていた私には、マリヴォーとの出会いは決定的だった。古典劇にとどまらない現代性、その登場人物たちのスケールの大きさにすっかり魅了された。「メソード演技」を古典劇の人物たちの演技にこそ生かしたいと、今はなくなった渋谷ジァンジァンでマリヴォーの連続上演を始めた。当時若かった「メソード演技」を学ぶ役者たちと始めたことで、私自身、勉強しなくちゃならないことだらけ!
 サポートしてくれたマリヴォーの先生たちのお陰で続けてこられた。もっといろいろな人たちに観てもらえるようになるには、まだまだこれからやらなきゃいけないことが多い。

 さて、スタニスラフスキーコンメディア・デッラルテ! 一見、対極に受け取られがちだが、自然な演技にとどまらず、古典のような演劇性豊かな表現をめざす時こそ、俳優の演技にとってスタニスラフスキーの基盤が大変重要なことを改めて書き添えたい。

 (守輪咲良)


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Author:sakuramoriwa
守輪咲良。演出家。演技私塾「櫻塾」代表。劇集団「咲良舎」主宰。日本演出者協会会員。一般社団法人日露演劇会議・常務理事。明治大学文学部卒。札幌市出身。

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